「以前のブログ」で炎症の意味についてお伝えした際に、「寒冷療法」であるアイシングについても少し触れました。
今回は、あまり馴染みがないかもしれませんが、その逆の「温熱療法」についてお伝えします。
そもそも日本にはお風呂の文化が根付いていますが、世界的にみてもローマの浴場やフィンランドのサウナなどがあり、お風呂や温かい部屋はリラクゼーションのみならず、治療のためにも使われています。
体を温める方法には「渦流浴」といって泡風呂のようなものもありますが、これは温熱療法に水治療法の利点を組み合わせたものです。
温熱療法の利点は、血管の拡張による血流量の増加になりますが、発汗によって皮膚への血流量も増加します。
水治療法の利点は、水圧によって「むくみ」を縮小させるのに効果的といわれており、体の周りを水が動くことで血液循環が増し、筋肉だけでなく精神的なリラックスにもつながります。
しかし、すでに組織が炎症を起こしている場合には、炎症の悪化により組織の回復が遅くなってしまう場合もあるため、さらに熱を加えないような注意が必要となります。
また、患部を直接温める方法に温湿布のような「ホットパック」がありますが、これは炎症が酷くなければ、筋肉の緊張をダイレクトに取り除くことが可能なため効果的です。
なお、ホットパックの注意点としては、温度をあまり熱くせずに20分以上の連続した使用は避け、火傷の防止のために皮膚と熱源との間にタオルが必要な場合もあります。
さらに、厳密には温熱療法との区別が必要となりますが、最近では「和温療法」という慢性心不全の患者さんに対しても温めることの有効性が示されてきており、その治療の幅も痛みや緊張に関連するものだけではなくなってきています。
最後に、冷却と温熱を交互に行う「交互浴」というものがありますが、これは数分間冷やした後に、数分間温めることを何度か繰り返し、通常は最後に冷やして終了となります。
この交互浴の作用として、冷やしたり温めたりを繰り返すことで、血管の収縮と拡張が起こります。
一方で、冷却と温熱の交互浴による効果について、フィンランドの水泳選手を対象にした研究では、交互浴は脱水症を引き起こし、 体のストレスホルモンを上昇させてしまいました。
これは、交互浴が疲労からの回復を妨げる可能性があることを意味していますが、その効果については否定的な報告ばかりではありません。
そのため、ご自身の感覚として気持ちよく感じられる場合には、血行の改善が起こっていることが予測されるため、交互浴を継続してみても良いのかもしれません。
ここまでの内容をまとめると、炎症が酷い場合などを除き、一般的には「温熱療法」で血行を良くすることで体にとってはプラスの効果が期待できます。
ただ、今回の内容に限った話ではありませんが、どんなに良さそうなことであっても何かしらのマイナス要素を含んでいる可能性があることを理解しておくことは大切です。
僕もそうですが、「これだっ!」というものがあった時には、どうしてもそれ以外に目がいかなくなりそうな場合も多いかと思いますので、ご注意ください。
「生涯サッカー」を続けるために、サッカー以外の視野を広げる意識を持つことも大切になりそうですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!