「炎症」は敵か味方か!?

スポーツでケガをした際に、その部分が赤く腫れて熱を持ち、強い痛みを経験したことはありませんか?

もしかしたら、その時には「炎症」が起きていたのかもしれません。

炎症とは、物理的刺激(外傷など)、化学的な刺激(化学薬品接触など)、ウイルスなどの微生物の感染に対して起こる「生体の防御反応」の一つです。

「発赤」、「熱感」、「腫脹」、「疼痛」を、炎症の4兆候と呼びます。

先程の炎症が起きるような怪我をした時には、氷嚢を使用して患部を「アイシング(冷やす)」された方も多いのではないでしょうか?

アイシングは、当然ながら一般的には、急性の外傷などによる炎症を抑えて、腫れや痛みを軽減することを目的に行われています。

それは、アイシングによって、炎症を軽減させ、血管の収縮を促進し、痛みを麻痺させることができるからです。

アイシングの標準的な方法は、氷嚢を10〜15分間患部に当てます。

場合によっては、20分後に再度アイシングを行うこともありますが、長時間のアイシングによって「凍傷」になる恐れがあるため、回数は1日に3回以内が推奨されています。

ここで誤解しないでいただきたいのですが、炎症の全てが悪いわけではありません。

前述しましたが、炎症は、体に何らかのストレスが加わったことによる自然の副産物であり、生体の防御反応の一つです。

つまり、この炎症によって、体を修復する反応が引き起こされるのです。

炎症は痛みを伴うことから悪者と思われがちですが、体にとって必要な「味方」でもあるということになります。

しかし、炎症はリカバリーできる範囲内であれば体が処理できますが、それを上回った時に問題が生じます。

すなわち、このタイミングで炎症は体にとって「敵」となってしまうのです。

軽度の炎症なくして体の修復はありませんが、軽度の炎症は「より深刻な炎症」の始まりでもあるということになります。

この軽度の炎症は、自然治癒過程の一部分ですが、炎症がより酷い場合には医学的な治療が必要となるケースもあります。

そのため、痛みが強い場合には、自己判断せずに医師の診察を受けるようにしてください。

炎症を早期から上手くコントロールすることで、その後の回復にも違いが出てきます。

また、よく患者さんから、痛い時は「温めた方が良いのか」と聞かれることもありましたが、軟部組織の損傷がケガをして間もない急性期の段階にある時には、温めることで炎症を悪化させてしまう恐れがあるため注意が必要です。

「生涯サッカー」のためにも、痛みを我慢しすぎて長引かせないように気をつけていきましょうね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

▶︎札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期修了(理学療法学修士)
▶︎理学療法士 / 専門理学療法士(運動器)
▶︎JARTA認定スポーツトレーナー(SS rank)

医療機関にて多種多様な疾患や症例に対してのリハビリテーションを経験。スポーツトレーナーとしてオリンピック日本代表やプロアスリートのサポート実績も有する。東京で30代からの大人のサッカーコミュニティ『FLEOS -フレオス-』を立ち上げるなど誰もが生涯サッカーを当たり前に楽しめる社会の実現に向けて活動中。

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