神経が悲鳴を上げる「腰椎椎間板ヘルニア」とは!?

誰もが「ヘルニア」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

良い意味の言葉ではないというのは、想像がつきますよね。

ヘルニアとは、体内のある臓器が本来あるべき位置から脱出してしまった状態を指します。

代表的なところでは、背骨のクッションである腰骨の椎間板の中にある「髄核」というゲル状の組織が、外に飛び出してしまった状態を、「腰椎椎間板ヘルニア」と呼びます。

この飛び出た髄核が神経を圧迫することで、腰痛や下肢の痛み、痺れなどを引き起こします。

当然、神経が障害された部位によって症状は異なり、例えば4番目と5番目の腰椎の間にある椎間板ヘルニア(L4/5)では、ふくらはぎの外側から足の親指にかけて痛みや痺れが出現します。

腰椎椎間板ヘルニアは、20代から40代の比較的若い男性に多く見られますが、主な原因は椎間板への強い圧力と言われています。

加齢に伴い椎間板は老化していきますが、急に重い物を持ち上げる、中腰といった日常の動作、激しいスポーツなどの腰への負担がきっかけとなることが少なくありません。

特に背中を丸めた前屈を伴う動作では、椎間板から髄核が神経方向へ飛び出す圧力につながりますが、反対に腰を反るような動作では、痛みが楽になるのが特徴です。

しかし、特に腰に負担がかかるような作業をしていない方でも椎間板ヘルニアになることがあるため、誰にでも起こり得る病気とも言えます。

腰椎椎間板ヘルニアの治療は、手術と保存療法(投薬、装具療法、リハビリテーションなど)の2つに大別されます。

ただ、よほど強い症状がなければ、まずは保存療法が選択されるのが一般的です。

ヘルニアの種類にもよりますが、基本的に数ヶ月程度で自然に吸収されて消失することが多いとの報告もなされています。

腰椎椎間板ヘルニアに限らず腰痛全般に言えることですが、安静は痛みの結果、活動量を調整することが望ましいだけで、治療の手段としての安静ではありません。

腰に過度な負担がかからないように注意した上で、出来るだけ早期から動いていくことが、世界的にも腰痛治療のスタンダードとなっています。

もちろん自己流ではなく専門家の指示のもと、個別の状態に合わせて柔軟性や筋力の向上を図り、予防的な面も含めて効率的な体の使い方を学習していくことが大切です。

手術に関しては、最後の手段となりますが、術式も日進月歩で進化しており、自分に合った治療法について納得のいくまで専門医にご相談ください。

「生涯サッカー」を続けるためにも、自分の体は自分で守るという意識を生涯持ち続けましょうね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

▶︎札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期修了(理学療法学修士)
▶︎理学療法士 / 専門理学療法士(運動器)
▶︎JARTA認定スポーツトレーナー(SS rank)

医療機関にて多種多様な疾患や症例に対してのリハビリテーションを経験。スポーツトレーナーとしてオリンピック日本代表やプロアスリートのサポート実績も有する。東京で30代からの大人のサッカーコミュニティ『FLEOS -フレオス-』を立ち上げるなど誰もが生涯サッカーを当たり前に楽しめる社会の実現に向けて活動中。

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