今回は、以前のブログ「痛いのは筋力が弱いから!?」の続きとなりますが、「体のサビ」を除去してブレーキを外す方法についてお話します。
その前に、体がサビてブレーキがかかっているとは、どのような状態かを整理します。
痛みがある状態は、一般的には交感神経の影響で血管が収縮し、筋緊張の亢進から血行が低下している場合が多いというのは、今までのブログをお読みいただければ、お分かりかと思います。
しかし、痛みがある状態のみが、体がサビてブレーキがかかっている訳ではありません。

体がサビてブレーキがかかっているというのは、非常に曖昧な表現になりますが、「動きがぎこちない」状態です。
想像していただきたいのですが、客観的に見て「動きがぎこちない」人は、全て痛みがあるのでしょうか?
痛みが無くても「動きがぎこちない」人は、たくさんいますよね。
では、柔軟性が低下しているから、「動きがぎこちない」のでしょうか?
確かに、柔軟性が高い人の方が、動きがスムーズな場合も多いかもしれません。
しかし、僕は仕事柄、多くの人の動きを見てきましたが、決して柔軟性が高いからといって、動きがスムーズな訳ではありません。
「動きがぎこちない」状態というのは相対的なもので、その逆の「滑らかな動き」も含めて完璧はありません。
つまり、自分自身の状態との比較になるため、体がサビてブレーキがかかっているというのは、「動きがぎこちない」状態という曖昧な表現にならざるを得ません。
いつもより「動きがぎこちない」と感じた時点で、「いつもより体がサビ付いてブレーキがかかっている」ということになります。
この、動きをぎこちなくする原因は、体だけではなく、意識の問題も含めて多岐に渡りますが、今回は「アウターマッスルとインナーマッスルの関係」に着目してお話します。
解剖学的には正式な分類はされていませんが、その名の通り、アウターマッスルとは体の外側、インナーマッスルとは体の内側にある筋肉です。

膝に痛みがある場合を例にお話しますが、僕の経験上、ほぼ全ての患者さんで、アウターマッスルである大腿四頭筋の一部、大腿直筋の緊張が亢進していました。
大腿直筋の1番の役割は、膝が抜けないためのブレーキです。
そのため、大腿直筋の緊張が過剰に亢進すると、ブレーキが強くかかりすぎるため、いわゆる体のサビにつながります。

一方、インナーマッスルである大腰筋の主な作用は、歩行時に股関節を前方に振り出すことですが、大腿直筋にも同様の働きがあります。
ただ、大腿直筋による股関節の前方への振り出しは、膝が棒の様に伸びて固定された力も働くため、機能的ではありません。
つまり、本来使うべき大腰筋の筋活動増加により、ブレーキである大腿直筋の過度な負担は軽減されるということになります。

今回の内容をまとめると、「痛み」は動きをぎこちなくする原因の1つにすぎません。
むしろ、アウターマッスル優位な使い方が、動作に必要以上の筋力を必要とするため、筋緊張の亢進から血行の低下を招き、痛みにつながる場合も少なくありません。
しかし、人間に必要のない筋肉などありませんから、本来の役割で筋肉を使うことができれば、体にサビは付き難くなります。
もちろん、サッカーの「パフォーマンスアップ」にもつながるかもしれません。
「生涯サッカー」を実現するためにも、インナーマッスルの役割に注目してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました!