効果は絶大「PNFストレッチング」の正体とは!?

近年、ストレッチングはリハビリテーション分野だけではなく、フィットネスやスポーツの領域においても広く普及し、その実施効果として関節可動域増大、筋萎縮抑制、疼痛緩和などが報告されています。

ストレッチングは、主動筋の自動運動によるアクティブ・ストレッチング(Active Stretching)と、外力または自身の手で身体部位を伸張することなどによるパッシブ・ストレッチング(Passive Stretching)に大別されます。

その具体的なストレッチング方法としては、スタティック・ストレッチング(Static Stretching)、ダイナミック・ストレッチング(Dynamic Stretching)、バリスティック・ストレッチング(Ballistic Stretching)、そして固有受容性神経筋促通法(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation;以下、PNF)の促通パターンを用いたPNFストレッチングなどがあります。

中でも、PNFストレッチングは、スタティック・ストレッチングやバリスティック・ストレッチングよりも柔軟性の改善に有効であるとの報告が多くなされています。

PNFとは、1940年代後半に米国のKabat医師と理学療法士であるKnottらが、ポリオ後遺症患者の運動機能を高めるために開発した運動療法であり、今日では多種多様な疾患が対象となっています。

その定義は、「主に固有受容器を刺激し,神経筋機構の反応を促通する方法」。

固有受容器とは位置、動き、力の感覚の受容器のことで、関節包の受容器(Ruffini終末)、靱帯の受容器(Pacini小体)の他に、筋紡錘、腱紡錘、関節上の皮膚の動き受容器(Ruffini終末・Pacini小体)などがあります。

これらの受容器を徒手的に刺激する方法として、関節の牽引・圧縮、筋の伸張、運動抵抗、PNFパターンなどを使用。

PNFパターンとは、矢状面(屈曲と伸展)・前額面(四肢の外転と内転および脊柱の側屈)・水平面(回旋)の3面で構成されており、抵抗に抗したパターン運動を行うことで、全ての共同筋群を収縮させることが可能となります。

このPNFを用いたストレッチングでは、筋の収縮後にリラックスするという特性を利用した「ホールド・リラックス」や「コントラクト・リラックス」といったテクニックが代表的。

その長所として、大きなストレッチング効果が期待でき、単関節あるいは多関節への適応が可能です。

ただ本来PNFは、専門の研修を受けて正しい知識や技術を身に付けた方に行ってもらうことを推奨します。

それは、間違った方法でPNFストレッチングを行ってしまうことで、逆に筋を痛めたり、パフォーマンスを低下させてしまうこともあるからです。

個人的には、PNFの研修や大学院での研究を行っていたこともあって、尚更その重要性を強く感じています。

「生涯サッカー」を続けるためにも、コンディショニングに重要なストレッチングに対して正しい知識を身に付けましょうね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

▶︎札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期修了(理学療法学修士)
▶︎理学療法士 / 専門理学療法士(運動器)
▶︎JARTA認定スポーツトレーナー(SS rank)

医療機関にて多種多様な疾患や症例に対してのリハビリテーションを経験。スポーツトレーナーとしてオリンピック日本代表やプロアスリートのサポート実績も有する。東京で30代からの大人のサッカーコミュニティ『FLEOS -フレオス-』を立ち上げるなど誰もが生涯サッカーを当たり前に楽しめる社会の実現に向けて活動中。

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