絶対的な「良い姿勢」とは!?

子供の頃に「姿勢を良くしなさい!」と、両親や先生などから注意された経験はありませんか?

僕は規律のとれた兵隊のように、じっとしているのが苦手だったので、よく注意されておりました…。

そもそも「良い姿勢」とは、どのような姿勢なのでしょうか?

多くの方は、モデルさんのように「背筋がピンと伸びている姿勢」を想像するのではないでしょうか?

僕は職業柄、人の姿勢を見るのが趣味のようになっているのですが、確かに足が長くてスラッとしたモデルさんの姿勢には、正直なところ目を奪われます(笑)

しかし、モデルさんの姿勢の「全て」が良いものかというと、決してそうではありません。

実は、この「全て」というのが重要なポイントになります。 

というのは、これだという絶対的な「良い姿勢」は、そもそも存在しないからです。

これが何を意味しているのかというと、 どんなに「良い姿勢」であっても、同じ姿勢をとり続けている時点で、その姿勢は「良くない姿勢」となってしまいます。

それは、同じ姿勢をとり続けることで、一部分の筋肉の負担が増えてしまうことから、筋緊張の亢進や血流の低下を招いてしまう恐れがあるためです。

そのため、あえて「良い姿勢」を表現するとしたら、どのような姿勢をもとることができる状態にあることが、「良い姿勢」となります。

ですが、これだけだとあまりにも抽象的すぎるので、体にかかる負担の少ない基本的な立位姿勢についてお話しします。

まず、先程のモデルさんの例になりますが、背筋を過剰にピンと伸ばして立つことは、腰骨の後方にある椎間関節の圧力が高くなることから、腰痛を引き起こす場合も少なくありません。

また 、この状態では前方重心で体重が足の指先にかかりやすくなるため、外反母趾や太もも前の筋肉の張りにつながる可能性もあります。

では、どのように立つことで体にかかる負担が少なくなるのかというと、一般的にイメージする良い姿勢とは真逆で、腰骨は反らずに太もも前の力を抜き、指先ではなくスネの骨の真下(内くるぶし側)に体重がかかるようにします。

このように立つことは、まさに「骨で立つ」ような姿勢となります。

これは、プラモデルをイメージしていただけるとわかりやすいかと思いますが、当然ながら指1本で軽く前に押すだけでもプラモデルは倒れてしまいますよね。

でも皆さんは、指1本で軽く前に押しただけでは倒れませんよね?

なぜ倒れないのかというと、それは筋肉が支えているからです。

すなわち、「骨で立つ」ということは、最小限の筋力で立つことを意味しているため、体に対する負担の少ない非常に効率の良い立ち方となります。

この最小限の筋力で立つことは、特にスポーツにおいては重要です。

なぜなら、姿勢を保つことに無駄な筋力を使用していない分だけ「力み」も少なく、スポーツのあらゆる場面で使える「筋力」に余力を残している状態だからです。

しかし、絶対的な「良い姿勢」が存在しないのと同様に、この立ち方もあくまで基本的な立位姿勢の一例にしかすぎません。

そもそも、スポーツは瞬間的に局面がどんどん変化するため、同じ姿勢に留まっていることはほとんどないですよね。

つまり、言い換えると、どのような立位姿勢であっても「最小限の筋力で立ち続けられる」ことが、高い競技パフォーマンスの発揮につながります。

「生涯サッカー」を楽しむためにも、無駄な力みがないか、普段の立ち方から見直してみてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

▶︎札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期修了(理学療法学修士)
▶︎理学療法士 / 専門理学療法士(運動器)
▶︎JARTA認定スポーツトレーナー(SS rank)

医療機関にて多種多様な疾患や症例に対してのリハビリテーションを経験。スポーツトレーナーとしてオリンピック日本代表やプロアスリートのサポート実績も有する。東京で30代からの大人のサッカーコミュニティ『FLEOS -フレオス-』を立ち上げるなど誰もが生涯サッカーを当たり前に楽しめる社会の実現に向けて活動中。

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