「痛み」が「痛み」を呼んでくる!?

僕が患者さんやアスリートと関わる際には必ず問診を行いますが、長い場合には1年以上も痛みを我慢しているケースも珍しくありません。

そして、その時によく聞かれる言葉が、「そのうち治ると思っていた」です。

この考えは、半分は正解で、半分は不正解です。

というのは、通常は痛みが生じても交感神経の反応(血管収縮)と運動神経の興奮(筋肉の緊張)は短時間で落ち着き、血行の改善に伴い、痛みは治まります。

しかし、痛みが長引くと血行の悪い状態が続いて「痛みを起こす物質」が多く発生し、痛みの悪循環を引き起こすことにつながります。

この痛みの悪循環とは、

「痛みを感じる」→「血管収縮・筋肉の緊張」→「血行の低下」→「酸素・栄養不足」→「痛みを起こす物質の蓄積」→「痛みを感じる」

の無限ループです。

つまり、「痛みが痛みを呼んでくる」ということになります。

さらに厄介なことに、痛みの悪循環は、痛みの閾値(痛みが発生する境界)を低下させ、通常では痛みを感じない軽い刺激でも痛みを感じるようになってしまいます。     

そのため、痛みがある場合には、症状が慢性化する前に出来るだけ早く「痛みの悪循環」を断ち切ることが大切になります。

痛みの悪循環を断ち切る方法は、当然その原因によって異なりますので、まずは医師の診察を受けることをお勧めします。

そうすることで、ご自身に合った「痛みを改善する方法」が見つかるかもしれません。

「生涯サッカー」を続けるためにも、自分の体としっかりと向き合う習慣を付けてくださいね。

補足ですが、病院でのリハビリなどで痛みの限界まで関節を動かされることを希望する方もおりますが、痛みの悪循環につながる可能性もあるため、個人的にはお勧めできません。

関節が痛くて動かないというのは、「結果」であって「原因」ではないですから、原因に対する適切なリハビリに過度な痛みは必要ありません。

ちなみに、僕は肉体的にも精神的にも痛いのが人一倍苦手なので、日々の関わりはお手柔らかにお願いします…。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

▶︎札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期修了(理学療法学修士)
▶︎理学療法士 / 専門理学療法士(運動器)
▶︎JARTA認定スポーツトレーナー(SS rank)

医療機関にて多種多様な疾患や症例に対してのリハビリテーションを経験。スポーツトレーナーとしてオリンピック日本代表やプロアスリートのサポート実績も有する。東京で30代からの大人のサッカーコミュニティ『FLEOS -フレオス-』を立ち上げるなど誰もが生涯サッカーを当たり前に楽しめる社会の実現に向けて活動中。

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