スポーツ経験者でしたら、「ハムストリング」という筋肉の名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
ハムストリングとは、太ももの裏側にある「半膜様筋」、「半腱様筋」、「大腿二頭筋」の総称です。
外側に大腿二頭筋が、内側に半腱様筋とそのやや深層に半膜様筋が位置します。
このハムストリングという筋名の由来は、
・ハム(Ham)=もも肉
・ストリング(String)=吊るす
という言葉が、「豚のもも肉をハムに加工する際、上記の筋肉と腱を使って吊るしていたこと」に起因しています。(諸説あり)
ハムストリングの全ての筋肉(大腿二頭筋の短頭は除く)は、股関節と膝関節をまたぐ二関節筋で、骨盤下部から起始し、膝下の骨(脛骨、腓骨)に停止。
二関節筋は、名前の通り関節を2つまたいでいることから、2つの関節の動きに作用します。
ハムストリングに関していえば、股関節と膝関節の両方の動きに関わります。
具体的には、膝を曲げる動き(膝関節屈曲)に加え、脚を後方に振る動き(股関節伸展)に作用します。
特に膝よりも股関節の動きに強く作用し、股関節伸展筋力の「30〜50%」程度を担っているとの報告がなされています。
しかし、膝の機能への関与が重要でない訳ではありません。
ハムストリング(特に半膜様筋)は、大腿骨に対しての脛骨の前方引き出しを制動する役割、すなわち膝の安定性を担っています。
これは、本来は前十字靱帯の役割ですが、ハムストリングも補助的に作用しています。
歩行や走行においては、前方に脚を振り出す際の膝下にブレーキをかける重要な働きも持ち合わせています。
これは高速で走るスプリント走で、特に強く使われる働きとなりますが、この機能が無ければ膝から下が急激に伸ばされてしまうことで、筋肉や関節を痛める原因となってしまいます。
一方、ジャンプなどの瞬発力を伴う動作においては、股関節伸展筋力が重要であるとの知見が研究結果から得られています。
また、股関節伸展筋力は、歩行や前傾した体制から上体を起こす動作に影響しますが、これは当然ながら前述したスプリントの「スピード」に大きく関わる要素となります。
つまり、ハムストリングの特に上部である股関節部分は、車で例えると「アクセル」としての重要な役割を担っていることになります。
ただ、スピードに関わるということは、瞬間的に強い負荷が加わることを意味しており、「肉離れ」をはじめとしたケガのリスクが高い筋肉でもあります。
それでも多くのスポーツでは、この「スピード」に関連した要素が重要となるため、ハムストリングの機能を引き出すトレーニングを行うことは必須です。
具体的なトレーニング方法は、個人の身体状況などによっても変わってきますが、何度もお伝えしている「ゆるむ」ことが、ハムストリングの機能を引き出す上でも前提条件となります。
「生涯サッカー」のためにも、ハムストリングに着目したケアやトレーニングも継続して行なっていきましょうね。
最後までお読みいただきありがとうございました!