人類は、四足歩行から二足歩行への進化に伴い、「腰痛」とは切っても切り離せない関係になったとも言われています。
言い換えると、まさに腰痛は、国民病といっても過言ではないくらい、誰に取っても身近な症状となっています。
代表的な腰痛としては、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、筋・筋膜性腰痛(腰周囲の筋肉疲労による腰痛)など、多数ありますが、「腰痛の原因は、腰骨と背筋」とイメージされている方も多いのではないでしょうか?
実際、「腰骨と背筋」に何らかの異常があることによって、腰痛を引き起こしているケースは、非常に多く存在します。
しかし、腰骨よりも下側に位置する「骨盤を形成する関節」の動きが悪くなることで引き起こされる腰痛も少なくありません。
この骨盤を形成する関節を「仙腸関節」と呼びます。
仙腸関節は、仙骨と腸骨が結合することで骨盤を形成している部分の関節です。
その関節面は関節軟骨で覆われており、そこには滑液という関節の動きを滑らかにしたり、軟骨への栄養を供給するための液体が、狭い関節の隙間に存在しています。
また、関節面には細かい凹凸がいくつも存在し、関節を包む袋や短くて強靱な靱帯が張っているため、可動性をほとんどもちませんが、体幹や下半身の動きに伴って微妙に動きます。
この「微妙に動く」ということが、実は非常に大切な役割を担っています。
それは、仙腸関節の動きが悪くなることで、代償的に他の箇所の負担が増えてしまうのは当然ですが、それ以外の理由として、仙腸関節部分には「痛みを感じるセンサー」が多く存在しているからです。
つまり、仙腸関節部分の動きが悪くなり、血行が低下すると、仙腸関節周辺にも痛みを感じやすくなってしまいます。
さらに、仙腸関節は重心に近い体の中心に位置しているため、この部分の異常は痛みのみならず、体の動きの不具合そのものにつながってしまう可能性もあります。
その一方で、骨盤は一つの塊だとしか認識していない方も多くいるため、正直なところ仙腸関節の動きを良くするイメージを持つこと自体が難しいかもしれません。
それでも、このブログで「仙腸関節」の存在自体を知っていただき、一人でも多くの方にとって、痛みの改善の第一歩につながりましたら幸いです。
補足になりますが、「痛みを感じるセンサー」は、背中の深部にある「多裂筋」という筋肉にも多く存在しているため、多裂筋の異常は、代表的な腰痛の原因の一つとして考えられています。
ただ、腰痛はMRIなどの検査による画像所見と痛みが一致しない場合も多く、その原因は多岐に渡ることから、本当に複雑で厄介な症状です。
そのため、仙腸関節由来の腰痛に限らず、具体的な痛みの改善方法は、それぞれの症状によって異なりますので、まずは医師の診断を仰いだ上で適切な対応を行うことをお勧めします。
「生涯サッカー」のためにも、ご自身に適した方法で腰痛の予防や改善をしっかりと行っていきましょうね。
最後までお読みいただきありがとうございました!