「マッサージ」は全ての痛みに有効!?

僕が整形外科の外来でリハビリテーション業務に携わっていた頃、痛みが出ても限界まで我慢し、なかなか受診しない患者さんが意外と多いことに驚かされました。

ある患者さんに、その理由を聞くと、病院の敷居を高く感じ、とりあえず近所の整体やマッサージ店に通っていたとのことでした。

ただ、しばらく通っても、

「マッサージでは痛みが取れなかったため、不安になって病院に来てみた。」

というのが、受診の経緯でした。

では、マッサージは「痛み」に対して、本当に効果が無いものなのでしょうか?

結論からお話しすると、マッサージは「痛み」の改善に対して効果があります。

痛みには、血行が関わっている場合も多く、マッサージによる筋緊張の緩和は、血行を改善させることにつながるからです。

しかし、マッサージが「全ての痛み」に対して効果がある訳ではありません。

その代表的な理由として、

・マッサージの適応にならない痛み(がん、急性炎症、出血性疾患、重症の内臓疾患など)

・マッサージを行う施術者の技術の問題

が、あるからです。

「マッサージの適応にならない痛み」は、痛みが改善しないどころか、マッサージにより病態そのものの悪化も招きかねないため、絶対禁忌です。

「マッサージを行う施術者の技術の問題」は、痛みの原因を理解した上で、適切なマッサージを行わなければ、外側の筋肉だけがほぐれ、いわゆる「揉み返し」となってしまいます。

マッサージを行う専門家の国家資格として、「あん摩マッサージ指圧師」があります。

最近では多くのマッサージ店があり、気軽に利用しやすくなっていますが、そこには国家資格ではなく、民間資格の整体師のみが在籍している場合も少なくありません。

民間資格の整体師は、日本の社会的には「無資格」と評価されてしまいますが、それだけで民間資格の整体師の否定にはつながりません。

素晴らしい技術を持った民間資格の整体師もたくさんいるからです。

言い換えると、「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格を保持していても、適切なマッサージを行えない施術者も存在するということです。

この事実は、僕たちリハビリテーション業界の「理学療法士」という国家資格保持者にも共通しています。

国家資格を取得したから、すぐに一人前に仕事ができる訳ではなく、多くの臨床経験、学術活動、研修会などでの自己研鑽によって、理学療法士は成長します。

日本の国民皆保険制度では、例えば、経験年数1年目の新人理学療法士と経験年数10年目の理学療法士であっても、患者さんに請求する診療報酬は全く同じです。

だからこそ、患者さんには、医師を指名して病院に来られることがあるように、担当の理学療法士を指名してリハビリテーションを行う権利があると個人的には考えます。

しかし、前述しましたが、理学療法士の成長には、多くの臨床経験が必要です。

最初からベテランの理学療法士ばかりが指名されていたら、若手の成長にも影響します。

また、若手でもしっかりとした技術や考えを持ち、臨床業務に取り組んでいる理学療法士も多数います。

そのため、担当の変更を希望するのは、「痛みが取れない」、「良くならない」など、結果に満足できない時に行ってください。

先程「担当を指名する権利がある」とは言ったものの、民間のマッサージ店などの保険外の場合とは違い、病院でのリハビリテーションは、保険制度を利用する以上、「社会資源」として病院側の事情に合わせないといけない部分があるからです。

後半は「理学療法士」としての自分の立場で思うところもあり、本題から話が脱線してしまい申し訳ありませんでした…。

「生涯サッカー」のためにも、信頼できる病院やマッサージ店などを見つけて、体のケアを継続的に行っていきましょうね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

▶︎札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期修了(理学療法学修士)
▶︎理学療法士 / 専門理学療法士(運動器)
▶︎JARTA認定スポーツトレーナー(SS rank)

医療機関にて多種多様な疾患や症例に対してのリハビリテーションを経験。スポーツトレーナーとしてオリンピック日本代表やプロアスリートのサポート実績も有する。東京で30代からの大人のサッカーコミュニティ『FLEOS -フレオス-』を立ち上げるなど誰もが生涯サッカーを当たり前に楽しめる社会の実現に向けて活動中。

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